TCP輻輳制御アルゴリズムの音質評価

ある晴れた春の昼下がり、ぼくは気づいた。

「おや?スピーカーから流れだすゆかりんの声がいつもよりかわいいぞ」

いつもゆかりんは世界一かわいいのだが、その日はいつにも増して、艶かしく繊細で麗しげに聞こえたのだ。決して私がゆかり王国民だからということではない。いつものように、ただLinuxのsambaサーバに置いたALACファイルを再生していたに過ぎない。ただひとつ、TCP輻輳制御アルゴリズムを変更していたことを除いては。


そう、ぼくは気づいたのだ。TCP輻輳制御アルゴリズムによって音質が変わるということを。敏感な人ならカーネルソースのコメント行の有無で音質の違いを感じることができるというのに、これまでなぜネットワークオーディオ環境における輻輳制御アルゴリズムの重要性に目を向けなかったのだろうか。否、耳を傾けなかったのだろうか。

そこで今回、輻輳制御アルゴリズム毎に音質の違いを聴き比べてみた。使用した機材は以下の通りだ。

・リスニング環境
# サーバマシン
ネッワークインタフェース: Intel I340-T4

# クライアントマシン
ネッワークインタフェース: Broadcom BCM57762
オーディオインタフェース: steinberg UR22
モニターヘッドホン: AKG K271 MkII
# ネットワーク
ケーブル: Cat 7 クロスオーバーケーブル直接接続

LinuxのTCP輻輳制御アルゴリズムの変更に関しては、以下のサイトが詳しかった。
http://sgros.blogspot.jp/2012/12/controlling-which-congestion-control.html

さて、前置きが長くなったが、いよいよレビューに入ろうと思う。

・CUBIC
# 低音
決して質の悪い低音ではないが、特別に良いとも言えない。やや量感にかけるか。
# 中音
良く鳴っている。透明感は今ひとつだがこの価格帯なら文句はない。
# 高音
つぶは揃っているが、若干耳に刺さる。
# 総評
この値段でこれだけ鳴ればコスパは良い。かまぼこ型の特性。高音はエイジングで化けるかも知れない。最近のLinuxはこれがデフォルトなのでベンチマークとする。

・Reno
# 低音
締りがあって良く鳴っている。下品ではない。
# 中音
繊細でいて大胆な中音域。透明感ないが、これはこれでクラシカルな良さがある。
# 高音
良く言えば味がある。悪く言えば少しもっさりしている。
# 総評
設計は古いが今もなお名機。オーケストラを鳴らしたら一級品。シンセとは相性が悪く、今風の音楽には合わないが、この音を求める層も一定数いることは確か。

・Vegas
# 低音
迫力ある十分な低音。強調されすぎた感があるが、個人的にこの音作りは嫌いじゃない。
# 中音
低音、高音に比べて控えめな中音。解像度もそれほど高くない。
# 高音
キンキンに響く。エイジングでどうにかなるレベルではなく、完全に作り手の味付けなのだと思う。
# 総評
典型的なおわん型。ヒップホップやテクノなどのデジタルサウンドを気持ちよく鳴らせる。ただ、ハイグレードなアンプと組み合わせないと、実力を発揮させることは難しい。ドンシャリが嫌いならおすすめできない。音源の悪い部分がよく目立つので、スタジオモニターとしても役に立つだろう。

・Westwood+
# 低音
# 中音
# 高音

全域でフラット。
# 総評 
今回試した中で最も実直でエレガントな響き。フラットでレスポンスの高いサウンドは、ストリングスやピアノによく合う。ジャズを鳴らせば締りのあるウッドベース、鮮やかなハイハットを楽しめる。TANNOYのスピーカーで鳴らしてみたい。細部に至るまで滑らかに鳴る。

・HSTCP
# 低音
太くはないがキレのある低音域。音圧戦争のなかでも、限界を感じさせない実力を秘めている。
# 中音
中音から高音にかけてしなやかによく伸びる。女性ボーカルが艶かしい。口の動き見える。
# 高音
レスポンスが良く、キレがある。むしろキレが良すぎてややメタリックな印象。音源によっては聴き疲れするかもしれないが、ジャンルによってはハマる。
# 総評
全音域が高い次元でインテグレーションしている。アニソンを聞くなら間違いなくこれ。収録されていないはずのコールが確かに聞こえる。

いくつか聴き比べてみたが、正直、輻輳制御アルゴリズムでここまで音が変わるとは思っていなかった。独自にチューニングを施すことで、さらなる音質向上も期待できそうだ。今回、田村ゆかりのヴォイスに最適化を行ったHSTCP実装も公開しておく。UTF-8のコメント行があるため、コンパイル時に注意されたい。
tcp_yukarin.c

今後はTCP関連のパラメータによる音質の変化と、最適なチューニングも煮詰めていきたい。音質への飽くなき追求は続く。

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